4. 身近に関わる地盤との対応
粘土は粒径が小さく(国際基準では 0.002 mm 以下)、見た目には間隙など存在しないように見えますが、実は砂よりも間隙の総量は大きく w / W2 で定義される含水比(がんすいひ;土の粒子だけの重さに対する水の重さ)が高くなっています。日本の沖積粘土(一万年から二万年前以降に堆積した最も新しい粘土)では 40 〜 80 % くらいが平均値となります。中にはもっと水分の多い粘土もあります。今問題になっている関西国際空港の地盤沈下もこの間隙に起因しています。スポンジに水を含ませて外から力をかけてやると、水を絞り出しながら圧縮していきます。粘土も同じ原理で圧縮します。埋立などによって大きな力を受けると、粘土は、スポンジから水を排出するように、受けた力に釣り合うまで水を排出して圧縮するのです。圧縮するためには間隙から排水しないといけないのですが、粘土は水を通しにくい材料なので、厚さ 10 m 以上もある粘土層が所定の水を搾り出すのには数十年かかってしまうのです。その結果、工事が終わって10年近く経った現在でもまだ粘土は間隙の水を排出し続けており、その結果として沈下が続いているというわけなのです。もしこれらの粘土層が砂のように水を通しやすい材料だったら、関西空港の沈下はもっと早く終わっているということになります。