地震と家や建物の揺れ方について知るには、まず「慣性の法則」について知らなくてはなりません。ニュートンの第一法則は「力が外部から働かない限り物体は一定の速度(静止も含む)を保つ」。つまり、静止しているものは静止し続けるし、動いているものは別の力を加えないと止まりません。電車が急に動くと、体は静止続けようとするため体は残ろうとして倒れてしまいます。動き出した車はブレーキをかけるか、何かにぶつからないと止まりません。これらは全てニュートンの第一法則なのです。慣性の法則はエレベータでも体感できます。地震では、慣性の法則によってその場に残ろうとする家に対して、地面が動こうとするため、家が揺れることになります。
 プリンやようかんによって家の揺れ方が異なったように、家や建物の揺れ方は地盤の種類の影響を受けます。プリンのように柔らかい地盤ではその厚さや地震の揺れ方によって、家が大きく揺れたり、逆にあまり揺れなかったりします。実際に1995年の神戸淡路大震災では柔らかい地盤の厚さの違いなどで、揺れ方が大きくなったり、逆に揺れ方が小さくて家の中の被害がなかったりしました。その性質を利用して重要な建物の基礎にゴムを利用したものを入れて揺れを少なくする方法も利用されています(図-2、写真-5、6参照)。(大震災の後、重要文化財関係の建物、精密機械に関する建物などには、建物をそっくりゴムやばねなどで支える免震装置をセットしたものが多くなりました。)
 家に筋交いを付けると、揺れ方が少なくなりました。筋交いを入れると家自体の揺れは見かけ上少ないですが、全体は大きく揺れることになり、家の中の物への影響が大きくなります。神戸の地震では戸棚の物が飛び出してたくさんの食器が壊れました。筋交いを入れるには柱や梁など建物の材料も強くする必要があることがわかります。